2026.08.11

AI時代のWebサイトは、「デザインされたブログ」が一般化するか?

EXPERIMENT

同じ文章を、二つの方法で公開しています

この記事は、「AI時代にはデザインされたブログが一般化するか?」という問いを、文章だけでなく実際のWebページでも試すために制作しました。noteには、この文章を通常のブログ記事として掲載しています。一方、CUDIORAでは同じ原文を使い、生成AIとHTML/CSSによって記事そのものをデザインしています。

比較する以上、文章まで変えてしまっては意味がありません。文章は同じまま、レイアウト、余白、文字組み、強調、図解、背景、視線の流れだけを変える。通常のブログとして読む場合と、内容に合わせてデザインされたブログとして読む場合で、同じ文章の印象や理解の仕方はどのくらい変わるのか。このページ自体が、この記事で考えている仮説の実験でもあります。

ここでいう「デザインされたブログ」とは、単にブログをきれいに装飾することではありません。記事の内容に応じて、何を大きく見せるか、どこで立ち止まらせるか、何を並べて比較させるかまで含めて、ページそのものを編集することです。一つの記事が、一つの小さなWebサイトのように作られている。そんなブログが、AI時代には一般化するのでしょうか。

同じ原文を掲載したnote版を見る →
01 — COST

AIによって「ページを作るコスト」が急激に下がった

企業サイトで新しいページを作ることは、これまでそれなりに大きな仕事でした。文章を書き、写真を用意し、デザイナーに依頼し、コーディングし、確認して公開する。制作会社へ依頼すれば当然費用もかかります。そのため企業サイトは、どうしても固定ページ中心になりやすい。一度作った「サービス紹介」「会社概要」「強み」といったページを数年間使い続け、更新するとしてもニュースやブログだけ。長い間、それが普通でした。

しかし生成AIによって、この前提が変わり始めています。文章を整理する。構成を考える。画像を生成・加工する。HTMLやCSSを書く。既存ページを修正する。SEOを検討する。これまで別々の専門作業として扱われていたものを、AIと対話しながら一続きで進められるようになりました。

もちろん、何でも一瞬で完成するわけではありません。思いどおりにならないこともあります。それでも、「一つの記事のために独自のページを作る」という行為のコストは、以前より明らかに下がっています。すると、「ブログ記事を書く」のと「Webページを作る」の差そのものが小さくなってきます。

これまでは、記事を書く → 共通テンプレートへ流し込むでした。これからは、記事を書く → 内容に合わせてページそのものを作るという選択肢が現実的になります。

BEFORE 記事を書く

共通テンプレートへ流し込む

WITH AI ページそのものを作る

内容に合わせて構成・画像・レイアウトを変える

FROM BLOG POST TO WEB PAGE

「ブログ記事を書く」のと
「Webページを作る」の差が、
小さくなっていく。

02 — DESIGN

それなら記事そのものをデザインしてしまえばいい

従来のブログには、ある程度決まった型があります。タイトルがあり、アイキャッチ画像があり、本文があり、小見出しがあり、最後に関連記事が並ぶ。これは非常に合理的です。読み手も使い方を理解しやすく、運営側も記事を増やしやすい。だから共通テンプレートが悪いわけではありません。

問題は、すべての記事を同じ見せ方にする必要があるのかということです。写真についての記事なら、写真を大きく見せるページにする。経営者の思想についての記事なら、文字を中心に静かに読ませる。事例紹介なら、Before/Afterを並べる。商品開発の記事なら、試行錯誤の流れを時系列で見せる。数字が重要な記事なら、グラフや比較表を中心にする。動画が中心なら、文章を補助に回してもいい。

PHOTOGRAPHY 写真を大きく見せる
PHILOSOPHY 文字を中心に静かに読ませる
CASE STUDY Before / Afterを並べる
PROCESS 試行錯誤を時系列で見せる
DATA グラフや比較表を中心にする
VIDEO 文章を補助に回す

記事ごとに、その内容に適した表現があります。AIによってページ制作の負担が小さくなるなら、すべての記事を一つのテンプレートに押し込む必要も少しずつ薄れていきます。つまり、記事を書くというより、一つのテーマについて小さなWebサイトを作る感覚に近づいていく。

ここで大事なのは、100本の記事を100通りにデザインすることではありません。それでは結局、運用が続きません。従来のオウンドメディアが共通テンプレートを使ってきたのには、明確な経済合理性があります。大量の記事を継続的に公開するには、同じ構造を繰り返した方が速い。AIが変えるのは、この経済性です。

すべてを変えるのではなく、重要な記事だけを内容に合わせてデザインする。文章中心、写真中心、比較中心、事例中心。いくつかの型を持ちながら、必要なときだけそこから外れる。雑誌に少し似ています。同じ雑誌でも、毎号すべてのページが同じレイアウトではありません。特集によって写真の使い方も文字の量も変わる。それでも一冊を通して見ると、その雑誌らしさがあります。Webサイトも、そういうものに近づく可能性があります。

同じサイトなのに、
ページごとに表現方法が違う。
それでも全体には、
一つの世界観がある。
03 — CONTINUOUS

「完成したサイト」という考え方も変わる

もう一つ変わるのは、Webサイトの「完成」という考え方です。従来の企業サイト制作には、「リニューアルしました」という明確な完成日があります。トップページを作り、会社概要を作り、サービスページを作り、公開する。そして数年後、古くなったらまた作り直す。

しかしデザインされた記事を継続的に追加していくなら、サイトは完成しません。新しい考えが生まれればページを作る。新しい事例ができればページを作る。新しい写真ができればページを作る。過去の記事と新しい記事をつなぎ直す。サイトそのものが、企業の活動や思考と一緒に成長していきます。

THINK
新しい考えが生まれる ページを作る
CASE
新しい事例ができる ページを作る
IMAGE
新しい写真ができる ページを作る
CONNECT
過去の記事とつなぎ直す サイト全体が成長する

「5年に一度作り直す」のではなく、日常的に編集し続ける。運営方法だけを見ればブログに近い。しかし出来上がるものは、従来のブログとは少し違う。一つ一つの記事がサイトの一部でありながら、それぞれ独立した表現を持つ。完成ではなく、更新が通常状態になる。 これは、Webサイトの考え方そのものを少し変えるかもしれません。

04 — CONTENT

SEOのためだけの記事とは正反対になる可能性がある

生成AIによって記事を大量に作れるようになったことには、少し皮肉な側面があります。記事を作ること自体が簡単になればなるほど、単に「記事がたくさんある」ということの価値は下がります。「○○とは」「○○のメリット5選」「○○を選ぶポイント」。こうした記事は、AIを使えばいくらでも作れます。

SEO

似たような文章がインターネット上に増えれば、企業が発信する意味は情報量だけでは測りにくくなります。そこで重要になるのは、誰が、どんな経験から、何を考えたのか。なぜ、その会社はそう判断したのか。実際に何をやって、何に失敗し、何を変えたのか。そこに、その会社にしか存在しない情報があります。

写真、図、デザイン、動画などは、その内容を補足するために使われる。そう考えると、デザインは単なる装飾ではありません。何を、どう理解してもらうかという編集の一部になります。Webサイトも「検索エンジンのための記事置き場」ではなく、その会社がどう考え、何をしてきたのかを蓄積して見せる場所へ近づいていく。SEOのために記事を増やすという発想とは、むしろ逆方向です。

05 — REALITY

ただし、すべてのサイトがそうなるとは思わない

ここまで書くと、「これから企業サイトは全部そうなる」と言いたくなります。しかし、それはたぶん違います。多くの企業は、Webサイトを頻繁に更新したいとは思っていません。会社概要とサービス内容と問い合わせ先が掲載されていれば十分、という企業も大量にあります。

AIがページ制作のコストを下げても、何を発信したいのかまで自動的に生まれるわけではありません。むしろ、ここでサイトは二つの方向へ分かれていく可能性があります。一方には、必要最低限の情報だけを掲載したシンプルな企業サイトがあります。AIによって制作コストが下がれば、こちらはさらに簡単に作れるようになるでしょう。

もう一方には、考え方、事例、研究、商品開発、顧客とのやり取りなどを継続的に蓄積していくサイトがあります。こちらでは、記事を書くたびに画像を作り、レイアウトを変え、過去の記事とつなぐ。必要であれば動画やインタラクションも加える。すると後者は、従来の「企業サイト+ブログ」という構造では説明しにくくなります。

サイトそのものが巨大なコンテンツストックになり、その一つ一つがデザインされたページになるからです。どちらが正しいという話ではありません。Webサイトに何を求めるかによって、方向が分かれるだけです。

DIRECTION A

必要最低限の
企業サイト

会社概要・サービス内容・問い合わせ先。AIによって、さらに簡単に作れる。

DIRECTION B

成長し続ける
コンテンツストック

考え方・事例・研究・商品開発・顧客とのやり取りを蓄積し、記事ごとに表現を変える。

06 — QUESTION

決めるのはAIではなく、人間の興味

そして、ここで一つ冷静に考えておく必要があります。そもそも、ブログを自由にデザインすること自体は、生成AI以前から不可能ではありませんでした。WordPressのページビルダーやElementor、STUDIO、Wixなどのノーコードツールを使えば、専門的なコーディング知識がなくても、記事ごとにレイアウトを変えることは以前からできました。

にもかかわらず、多くのブログは共通テンプレートのまま運用されています。これはかなり重要な事実です。つまり、問題は「できるかどうか」だけではありません。できるかどうかと、やりたいかどうかは別です。

記事ごとにレイアウトを考える。写真を選ぶ。見せ方を変える。余白を調整する。ページ全体のリズムを考える。そういう作業を面白いと思う人もいれば、そこまでやる必要を感じない人もいます。むしろ後者の方が多いかもしれません。

カメラが高性能になっても、すべての人が写真作品を作るわけではありません。動画編集が簡単になっても、すべての人が映像作品を作るわけではありません。AIも同じです。AIが下げるのは、主に技術とコストの壁です。最後まで残るのは、人間の興味です。

だから私は、「AI時代にはデザインされたブログが一般化する」とは断言しません。技術的には、かなり現実的になった。制作コストも下がった。それでも一般化するかどうかは、別の問題です。

AI時代のWebサイトは、
「デザインされたブログ」が
一般化するか?

答えはまだわかりません。ただ一つ確かなのは、以前なら制作コストを理由に諦めていた人でも、「ちょっとやってみる」ことはできるようになったということです。そして、その先に何が起きるのかは、AIではなく、そこまでWebサイトを面白がる人間がどれだけいるかにかかっているのだと思います。

技術的には、かなり現実的になった。
でも、それが一般化するかどうかはまだわからない。